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ボネ財団とピタマハの画家ポレン〜プリ・ルキサン美術館50周年記念式典〜2008年7月 |
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6時過ぎになってようやくガムランの音色が会場のプリ・ルキサン美術館の庭に響き始めた。式典の幕を開ける「ウエルカム・ダンス」の踊り子たちが華やかな衣装を纏って現れると、待ちくたびれた招待客の間からどよめきが起こった。演壇の最前列に陣取り録画する者、中継のテレビカメラの前に立ちはだかり写真を撮る者など、眼前で繰り広げられる眩いばかりの光景に我を忘れている様子。何故か「浦島太郎」の物語が思い出され、きっと竜宮城でも夜毎こんな踊りを披露していたのだろうと思った。 画家のウィラナタさんを訪ねた時偶然にもこのプリ・ルキサン美術館50周年式典のことを聞き、迷信深い店主は「これはきっとナンかの神様のお計らいに違いない」と考え、招待を受けた彼の後ろにくっついて入場した。後から考えると「招待状」が必要だったのだろうが、そこはバリ島、堂々としてたら誰も怪しまずに中に入れてくれた。(ウィラナタさんは招待状を忘れて来たが問題なかった) メイン・スピーチはオランダからやって来たルドルフ・ボネ財団の女性理事の話で、どんな内容だったか思い出せないが、最後にボネの描画作品を2点同館に寄贈する場面があった。改装を終えたプリ・ルキサン美術館で、この式典のために同財団が所有するピタマハの画家 Ida Bagus Made POLENG (1915-1999) の特別展を行うことになっていた。 記念式典なので各界からの来賓スピーチが、これでもかこれでもかと続き、すきっ腹の店主には少々応えたが、飲み物と食事が振る舞われるのでここは我慢するしかない。 笑えたのはある高官のスピーチで、「バリ島へのインドネシア政府の優遇政策のお陰で”バリ島”の名は世界中に知れ渡るようになった。近頃はインドネシアに来た外国人に、バリ島はどこの国にあるのですか?と質問されるほどだ」とやり、招待客に大いに受けた。そんな馬鹿な外国人がいるのかと地元の招待客は笑い、そんな馬鹿な奴はいないでしょと外国人招待客は笑ったのだと思った。同床異夢ならぬ同話異笑?かな。(^^ゞ ふと隣を見ると、以前から注目していたオーストラリア人の女性画家のケリー・ペンダーグラスト氏のお顔があった。彼女の描くバリ島風景画の鮮やかで強烈な色彩感覚に惹かれていたので、アナタの絵のファンだと言ったら、アリラ・リゾートでの個展の素敵なカードをくれた。 入場そうそう、ブディアナ画伯と再会し感激していたら、絵を数点お預かりしているグラカカ画伯も現れ3人で記念写真を撮ってもらった。他にもメジャ・ギャラリーやスメルタ・ギャラリーの若旦那、若手画家のSUARTIKAさんやSUKAWATIさんらの顔もあり、店主もこの世界では結構知り合いが増えてきたなあと嬉しくなった。 スピーチが終わり、ようやく待ちに待った豪華なビュッフェ・ディナーが振る舞われた。お腹をパンパンに膨らませ一息ついた頃にテープ・カットがあり、改装して特別展示作品で溢れかえった館内に招待客が続々となだれ込んでいった。 今は亡きボネやシュピースと、彼らが中心となって創設したウブド画家協会「ピタ・マハ」で活躍したバリの画家たちの霊があの世から舞い戻り、彼らの作品に群がる観客を前に昔のことを懐かしく語ってくれたような気がした夜だった。 |
魔界へのご招待 〜ブディアナ画伯を訪ねて〜 2008年1月 | ||
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風の便りでアトリエが完成したとの噂を聞き、ウブドのブディアナ(BUDIANA)さん宅を訪ねたのは昨年の一月のことだった。近年の新築ブームで氏の家の周りも家が密集しだし、風通しが悪くなったと嘆いていたが、玄関から一歩敷地に入ると「ここの何処が密集なのか?」と、あきれるくらい広い中庭だった。その一角に、岩山のような異様な外観の「新築さん」が完成していた。 穴倉に潜り込むようにして足を踏み入れると、そこは深い闇に支配された洞穴のような空間で、暗闇に目が慣れるまで少し時間がかかった。 豆電球と小さな採光用の窓から漏れるうす明りに、氏の代表作「母なる地球への懇願」が壁一面に広がっているのがぼんやりと見えてきた。天地創造の神々の放つ強烈なエネルギーが波動となって伝わってきそう・・・。美術館に展示するよりも、こんな魔境のようなスペースこそブディアナ作品に相応しい場所に思えた。 以前は、ハノマン通りのアトリエ兼インターネット・カフェの建物に作品を保管していたのだが、雨漏りが激しくなり作品に被害が出始めた。そこで、新しいアトリエの建設計画が始まったとのことです。(実は、ある日本人コレクター様が資金面で大貢献されたんですよ!) バリ島のスコールは激しく、雨期ともなると天地をひっくり返したようなドシャ降りとなり、「家の中も外もあったもんじゃない!」という状態になる。他に、動物が家の中に入り込み、時折とんでもない所にシャワー(オシッコ)が降ってきたりする。そのため貴重品の保管場所に困ることになる。風通しの良い場所はドロボーが心配だし、隅にある隠し戸棚はカビが心配だ。いったい住民の皆さんはどんな場所に貴重品を隠してるんでしょうかね・・・。 さて氏の作品ですが、それはそれは超越したトンガり振りで、「一人無人の広野を征く」が如くです。バリ島に画家多しといえど、バリ・ヒンドウの精神世界を、これほどエネルギッシュな筆致で縦横無尽に描き続ける作家さんは他に知りません。ただ、奇怪でグロテスクな地獄絵のような作品が多いため、一般家庭の居間で鑑賞するには向かないかも知れません・・・。(^^ゞ しかし、大衆的なポピュラリズムには縁が無くとも、独創的な作品を長年に渡り製作し続ける氏の姿に、「歴史的にも、後世に残る作家(作品)とはそういうものではなかっただろうか?」と思うのです。(ゴッホの絵は生前にたった一枚しか売れなかったそうですし・・・) トコロデ、氏の作品を扱ってる画商は、日本ではアート・ルキサンだけなんです!(コマーシャル・タイム) ブディアナ氏は、「私にとって瞑想はとても大切な時間で、それに最も適した場所がここです」と、完成したばかりのアトリエの2階から外を眺めながら話してくれた。風が吹き抜ける東屋風のスペースは、一人創作の構想を練ったり、客人をもてなしたりする貴重な空間として、今後大いに活躍してくれることでしょう。 数年前に完成した、ウブドのモンキー・フォレスト入口付近にある大きなおサルさんの石像は氏の製作によるもので、寺院の石像彫刻を多く手掛けていることは既に有名です。今回は、「新築さん」のあまりの迫力にオシッコをチビリそうになりながらの取材となったのだった・・・。(T_T) 最新ニュース: 東京の世田谷美術館にてブディアナ氏の個展(2008年4月)が開催されます。 全国のバリ絵画ファンの皆様、この機会を逃さないでくださいね〜! (ブディアナ氏も来日して会場にお越しくださる予定) ブディアナ氏の作品 ブディアナ氏の略歴 |
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